他人の空似

2019 年 9 月 17 日

エクスプロイトを書きつつ学ぶWindowsセキュリティー機能 ~CFG export suppression~

Filed under: 未分類 — 中の人 @ 4:58 PM

今回はControl Flow Guard(解説記事)の派生技術をご紹介。

忙しい人向けCFG export suppressionまとめ:

  • dllのexport関数のアドレスを正規の手段以外で得てcallするとクラッシュする機能
  • 正規の手段は以下の通り
    • 静的リンク(Import Address Tableなど)経由
    • GetProcAddress関数
    • dllにexport以外で関数ポインタなどで受け渡す機能が備わっていた
  • 基本的な機構はControl Flow Guardと一緒
    • 具体的にはコンパイラが動的なcallやjmpの直前にチェック関数を挿入している
  • 有効化するにはexeとdllのすべてで/guard:cfを指定し、exeのリンカに /guard:exportsuppress を指定する

前置き

Windowsの32bitアプリケーションはアドレスランダマイズが不足しており危険だという話はPCセキュリティ界隈では比較的よく聞く話です。

その中でも特に脆弱なのがdllのアドレスランダマイズで、過去の記事でも触れたとおり比較的軽微なメモリ漏洩でも関数のアドレスが推測可能になるのが現状です。

そういった現状を踏まえ任意コード実行の脆弱性を少しでも難しくするために生み出された技術、それが今回紹介するCFG export suppression(以降CFG ES)です。

以降はサンプルコード前提で進みます。

cfg_es.zip

注意事項

本機能を有効にする/guard:exportsuppressは2019/09/17現在、MSDN上では非公開なオプションであり正式に提供されている機能ではない可能性があります。

今後正式に提供されるとしても挙動など変更になっている可能性を念頭においてご利用ください。

攻撃:情報漏洩と任意コード実行

話をシンプルにするためにexport関数のアドレスを漏洩する関数を持つdllを用意します。

// ただのexport関数
extern "C" __declspec(dllexport) void proc() {
   std::cout << "Arbitrary code execution\n";
}

// procのアドレスを漏洩する脆弱な関数
extern "C" __declspec(dllexport) __declspec(guard(ignore)) unsigned int leak() {
   return reinterpret_cast<unsigned int>(proc);
}

leak関数はprocの関数を漏洩しています。

関数ポインタの取得ではない旨を示すために__declspec(guard(ignore))するのを忘れずに。
※関数ポインタの取得とみなされるとCFG ESの対象外となるため

攻撃対象のproc関数はただ標準出力にメッセージを出すだけの関数です。

攻撃側は既に脆弱性を突かれている前提でleak関数の返り値を実行するのを直に実装します。

int main(const int argc, const char * const * const argv) {
   const HMODULE dll = ::LoadLibraryA("dll.dll");
   unsigned int addr = reinterpret_cast<unsigned int (*)()>(::GetProcAddress(dll, "leak"))();
   reinterpret_cast<void (*)()>(addr)();
   std::cin.get();
   return 0;
}

実際に上記のソースコードと実行ファイルがフォルダ1に入れてあるので実行してみましょう、特に問題もなくproc関数が実行できてしまいます。

ではCFG ESで対抗しましょう。

防御:CFG ES

/guard:cf が有効でないなら有効にします。
※本アプリでは最初から有効になっています。

次にexe側のリンカオプションで /guard:exportsuppressを設定するだけです。

今回も設定済みの物をフォルダ2に入れてあるので実行すると、今回はクラッシュしました。

「proc関数はGetProcAddressされていないのにアドレスを知っているのはおかしい、攻撃だな!」

との判断により強制終了された結果です。

このチェックによりエラーとされない方法は以下の通りです。

  • GetProcAddressによりアドレスを取得する
  • 静的リンクして関数を呼び出す
  • dll内部で関数ポインタとして取得されたものを受け取る
  • /guard:cfを解除する(セキュリティが低下します)

一般的な使い方をしていれば回避する方が難しいのがよくわかるかと思います。

上記以外で不正に取得したアドレスでcallやjmpすることが難しくなるというわけですね。

このチェックは/guard:cfの機能により行われるために/guard:cfも有効でないといけません。

まとめ

  • CFG ESは/guard:cfと/guard:exportsuppressをつければ有効になる
  • 有効になると不正に入手したexport関数アドレスは実行できない

実用性

GetProcAddressを呼び出してしまえば許可されてしまうため、100%の防御というよりは攻撃者の手札を減らす類のもの、場合により気休め程度の効果にしかならないことも。

リンクするdllすべてでControl Flow Guardが有効でなければ効果が薄いのと、一定より古いOSではそもそも無視される問題があり頼りづらい。

Buffer Overflowなど任意コード実行を目指す攻撃は動的アドレスへのcallやjmpの利用を目指すことがあるため、そういった攻撃を防げるのは水際防御としては有効そう。

とはいえreturnアドレスなど他にも利用できるものは多いため、やはり単独で使用できるものではなくSafeSEHBuffer Security Checkなどの技術との併用は必須。

構造上Control Flow Guardとの併用が必須であり、Control Flow GuardはJITエンジンなど食い合わせが悪い機能が多く採用が難しいという問題がある、採用する際は十分テストを行い問題ないことを確認したい。

メモリや計算量にオーバーヘッドが存在するため速度がダイレクトに響く分野での採用も難しい。

総じてメリットは小さくデメリットは大きい傾向がある技術、採用はほかの技術を優先したい。

終わりに

Control Flow Guardの派生技術ということで取り上げましたがいかがだったでしょうか。

CFG ESのかかったバイナリは手元ではEdgeしか発見できていないレア物だったりもします。

無条件で使えるものではないのは確かですが、ここまで誰も使わないほど有用性が低い技術でもないと思うので、少しでも採用アプリが増えてくれたらうれしいんですがどうでしょうね?

ではまた。

2019 年 9 月 15 日

エクスプロイトを書きつつ学ぶWindowsセキュリティー機能 ~Arbitrary Code Guard~

Filed under: 未分類 — 中の人 @ 4:25 PM

今回は被害を防ぐのではなく被害を抑える系技術のご紹介。

忙しい人向けArbitrary Code Guardまとめ

  • 自身からメモリアクセス権限を変更する権限を取り上げる技術
  • 具体的にはEXECUTEの新規付与禁止と既存EXECUTEメモリにWRITE付与禁止
  • 自身がマルウェアに乗っ取られた場合に他プロセスへの攻撃を難しくする
    • 具体的には他プロセスへの悪意あるコードの注入
  • 一度設定したら解除不能
  • 不特定多数の相手と通信するようなマルウェア被害が強く懸念されるアプリで被害最小化を図る場合向けの技術

前置き

攻撃を防ぐ技術は数えきれないほど存在しますが、それでも100%完全に攻撃を防ぐことは現代社会においては非現実的とされています。

そのため攻撃を防ぐことだけ考え、攻撃成功した後のことを考えなかった場合、あっという間に全てを乗っ取られ取り返しのつかない事態になってしまいます。

そこで攻撃が成功しても被害の拡大を防ぐ技術についても日々研究されています。

今回紹介するのもそういった方向の技術の1つで、Arbitrary Code Guard(以降ACG)です。

以降はサンプルコード前提で進みます。

ArbitraryCodeGuard.zip

例その1:メモリ書き換えによるコード注入

フォルダ1内のTarget.exeを攻撃します。

Target.exeの実装は以下の通り。

#include <iostream>

int main() {
   std::cin.get();
}

ただ入力待ちするだけのいたって善良な子です。

こいつにdllを注入します。

今回は注入に成功したことが分かればいいので特に悪事を働かせたりはしません。

#include <iostream>

#include <Windows.h>

BOOL APIENTRY DllMain(HMODULE hModule, DWORD ul_reason_for_call, LPVOID lpReserved) {
    switch (ul_reason_for_call) {
    case DLL_PROCESS_ATTACH:
       std::cout << "Injection!" << std::endl;
    case DLL_THREAD_ATTACH:
    case DLL_THREAD_DETACH:
    case DLL_PROCESS_DETACH:
        break;
    }
    return TRUE;
}

ただロード時に「Injection!」と出力するだけです。

次に攻撃者ですが、既に侵入に成功している想定で普通に攻撃を実装します。

   unsigned char code[] = {
      0x68, 0x00, 0x00, 0x00, 0x00, // PUSH 0x00000000(PUSH &"dll.dll")
      0x68, 0x00, 0x00, 0x00, 0x00, // PUSH 0x00000000(PUSH &::LoadLibraryA)
      0x58, // POP EAX
      0xFF, 0xD0, // JMP EAX
      0xC3, // RETN
   };

長くなる上ACGとは関係がないので端折りますが、要するに上記のコードを相手プロセス内に配置して実行するコードです。

内容的には::LoadLibraryA(“dll.dll”);に相当します。

ではTarget.exe>Attacker.exeの順に起動してみましょう。

上記のようにTarget.exe側にInjection!と出力されたはずです。

※普通に攻撃処理なのでアンチウイルスなどに止められる可能性があります。

次はこの攻撃をACGで失敗させます。

例その2:ACG実演

ACGとはメモリアクセス権(読み書き実行)の変更権限を制限する機能です。

攻撃者に侵入される前のアプリでACGを有効にしていたと仮定します。

void enableACG() {
   PROCESS_MITIGATION_DYNAMIC_CODE_POLICY policy;
   policy.Flags = 0;
   policy.ProhibitDynamicCode = 0x01;
   policy.ReservedFlags = 0;
   ::SetProcessMitigationPolicy(ProcessDynamicCodePolicy, &policy, sizeof(policy));
}

上記でACGが有効になるのでmainの頭で呼んでおきます。

上記の変更が入ったものがフォルダ2に入っているので実行します。

失敗しました。

これは実行権限付きメモリー確保に失敗したためです。

実行権限が付与できなければいくらコードを書き込めても実行させることが出来ず任意コード実行まで到達できません。

このようにACGを有効にしておくことで、マルウェアに制御を奪われても被害拡大を防ぐことが出来ます。

例その3:拡大阻止ではなく防御には使えないのか

結論から言うと防御には使えません、以下で実演します。

Target.exe内でACGを有効にします。

入れた物がフォルダ3に用意してあるので実行します。

攻撃成功しました。

このように、あくまで自身が他者を攻撃しないようにするだけで、他者からの攻撃を防ぐ用途では使えません。

例その4:攻撃者にACGは外されないのか

結論から言うと外せません。

void disableACG() {
   PROCESS_MITIGATION_DYNAMIC_CODE_POLICY policy;
   policy.Flags = 0;
   policy.ProhibitDynamicCode = 0x00;
   policy.ReservedFlags = 0;
   ::SetProcessMitigationPolicy(ProcessDynamicCodePolicy, &policy, sizeof(policy));
}

フォルダ4に上記修正を入れました。

しかし攻撃は失敗します。

普通の方法では後から外すことはできません。

まとめ

  • ACGは自身のメモリアクセス権変更権限を取り上げる技術
  • 有効にすると他プロセスに任意コードを書き込んで実行させるのは難しい
  • 自身に制約をかけ被害拡大阻止するだけで防御には使えない
  • 一度設定したら解除不能

その他詳細

  • 厳密には以下の権限が失われる
    • EXECUTE属性の新規発行
    • EXECUTE属性持ちにWRITE属性付与
    • EXECUTE_READWRITEを指定すること自体
      • EXECUTE_READWRITE =>EXECUTE_READWRITE(権限変更なし)もなぜか問答無用で失敗するように
  • 自分自身への付与も該当
    • ただしLoadLibraryでのDLL割り当てなどカーネル(他者)を経由する場合は問題ない

実用性

一般的なプログラマー視点であれば実用性はほぼないとみてよい。

ACGを導入してもファイルシステム経由でのdllインジェクションなどがありうるため、基本的に単独では意味が薄いのも痛い。

ユーザーがとても多く、防御策も軒並み全部採用している状態でなおセキュリティを高める場合にようやく選択肢に上る程度。

上記に該当するのは例えばブラウザなど。

とはいえそれほどデメリットもきつくないので、食い合わせの悪い技術(JITコンパイラなど)を使わないならば採用してもよい。

終わりに

今回は啓蒙というよりは紹介で、特に採用必要性のない技術でした。

とはいえブラウザ保護などには役立っているので、世の中はこういうものまで含めた積み重ねで安全が担保されているのだなと思っていただければ。

本記事でACGとは何かがちょっとでも伝わっていれば幸い。

ではまた。

2019 年 3 月 24 日

エクスプロイトを書きつつ学ぶWindowsセキュリティー機能 ~DLLプリロード攻撃~

Filed under: 未分類 — 中の人 @ 6:48 PM

前回までとは雰囲気を変えて防御手法ではなく攻撃手法に着目する回。

題材は「DLLプリロード攻撃」、それも特に静的リンクの物に絞ります。

簡単に説明すると、.exeと同じフォルダに細工した.dllファイルを配置するだけで.exe起動時に実行されてしまうよっていう攻撃のことです。

今回はこの攻撃の原理と防御法について一通り解説していきます。

いつものようにサンプルコード DllPreloadingAttack.zip

実演

百聞は一見に如かずということでまず実演してみましょう。

PrintVersion内のPrintVersion.exeを起動してみてください。

これは単にバージョンリソース内のバージョンを標準出力に出すだけの極々一般的なアプリです。

では次にexploit内のversion.dllをPrintVersion.exeと同じディレクトリに配置してからPrintVersion.exeを実行してみてください。

表示が変わりましたね 。

これがDLLプリロード攻撃です。

何が起きたのか

WindowsOSが提供するAPIは.dll形式でアプリに提供されています。

その機構に乗っかってアプリの一部を.dllに分離することもできます。

しかし、どの.dllを使うかはファイル名1つで決められているため、OS提供の物かどうかは.exe視点だと区別がついていません。

※LoadLibrary関数による動的ロードの場合はその限りではない

なのでOS提供の.dllの”一部”は、同名の.dllを特定ディレクトリに配置することで勘違いさせ無理やりロードさせることが可能なのです。

DLLの検索順序は公式に説明されています

この順序で検索して、本物の.dllより前に偽物の.dllを配置することが出来ると攻撃が成立するわけですね。

防御その1、書き込み不能ディレクトリに配置する

検索順序は要するに「.exeと同じディレクトリに同名の.dllがあるとそちらを優先して読んでしまう」です。

※カレントディレクトリの.dllを読んでしまうケースもありますが、そちらはOSの脆弱性として対処される流れのようです。

逆に言えば攻撃者がそこに書き込むことが出来ないならば、いくら脆弱でも問題はないわけです。

例えばProgram Filesがユーザー権限では書き込み不能なのはこのためです。

逆に言うと、Program Files以外に.exeを配置する場合(例:インストーラー)には別の対策が求められます。

防御その2、出来るだけ動的ロードを行う

LoadLibraryのロードでフルパスを指定することでDLLプリロード攻撃はおおよそ防ぐことが出来ます。

※後述しますがLoadLibraryが実装された.dll自体はDLLプリロード攻撃される恐れはありません。

そこでLoadLibraryとGetProcAddressを駆使してフルパスによる動的ロードを徹底することでDLLプリロード攻撃からは堅牢にすることが出来ます。

問題は、その作業がかなりの手間であり、実装コストが跳ね上がることでしょうか。

実際の修正例はPrintVersion_sono2として入れてあります。

実行例:

修正部(※一部):

typedef DWORD (WINAPI *GetFileVersionInfoSizeW_T)(
   _In_ LPCWSTR lptstrFilename,
   _Out_opt_ LPDWORD lpdwHandle
);
...
int main() {
   wchar_t versionPath[MAX_PATH] = { 0 };
   ::GetSystemDirectoryW(versionPath, _countof(versionPath));
   ::wcscat_s(versionPath, L"\\version.dll");
   const HMODULE module = ::LoadLibraryW(versionPath);
   const GetFileVersionInfoSizeW_T GetFileVersionInfoSizeW = reinterpret_cast<GetFileVersionInfoSizeW_T>(::GetProcAddress(module, "GetFileVersionInfoSizeW"));

防御その3、安全なDLLのみを使用する

検索順序で少し説明されていますが、Windowsにおいては絶対にシステムディレクトリから読まれる.dll名というのが存在します。

具体的には

  • NT Object Manager領域に公開されているKnownDLLsに含まれる.dll(レジストリの方じゃないので注意)
  • API Setに含まれる.dll
  • twain_32.dll

の3種類です。

KnownDLLsは以下

advapi32.dllbcrypt.dllbcryptPrimitives.dllcfgmgr32.dll
clbcatq.dllcombase.dllCOMCTL32.dllCOMDLG32.dll
coml2.dllCRYPT32.dllcryptsp.dlldifxapi.dll
gdi32.dllgdi32full.dllgdiplus.dllIMAGEHLP.dll
IMM32.dllkernel.appcore.dllkernel32.dllkernelbase.dll
MSASN1.dllMSCTF.dllmsvcp_win.dllMSVCRT.dll
NORMALIZ.dllNSI.dllntdll.dllole32.dll
OLEAUT32.dllpowrprof.dllprofapi.dllPSAPI.DLL
rpcrt4.dllsechost.dllSetupapi.dllSHCORE.dll
SHELL32.dllSHLWAPI.dllucrtbase.dlluser32.dll
win32u.dllwindows.storage.dllWINTRUST.dllWLDAP32.dll
wow64.dllwow64cpu.dllwow64win.dllWS2_32.dll

※Windows10 Version1809のもの

WinObjを使えばだれでも見れます、
各バージョン別の内容はhttps://windowssucks.wordpress.com/knowndlls/さんとかが追っているようです。

API Setはapi-ms-win-*あるいはext-ms-win-*で始まるdllのこと。

※関連してVirtualDLLの仕組みという記事を過去に書いたこともあります。

twain_32.dllは特例(あるいは過去の遺物)で、プリロードとLoadLibraryAに限って.dllまで省略せずに指定した場合のみシステムディレクトリからロードされる実装になっています。

おそらくは下位互換の都合でしょう。

これは例えばwindows互換OSを目指しているreactOSでも再現されています。

https://doxygen.reactos.org/de/de3/dll_2win32_2kernel32_2client_2loader_8c.html#ab6c0d4229db6159ce0cc96228f87b811

上記までに含まれる.dllのみを静的リンクする分にはDLLプリロード攻撃される心配はないので、その範囲でのみ実装することで堅牢にすることが出来ます。

実際にAPI Setを使用するようOneCore.libでリンクしたPrintVersion_sono3.exeが入れてあります。

※古いWindowsだとリンクエラーで動きません。

※API Set的にはapi-ms-win-core-version-l1-1-0.dllとapi-ms-win-core-version-l1-1-1.dllでリンクされていますが、version.dllをそちらの名前にリネームしても同様に正常動作します

組んだアプリが実際に大丈夫かはMSDNなど公式のドキュメントから得られるdll名と別途突き合わせてください。

防御その4、setup.exeにする

※2019/03/26 18:30頃追記

なんとsetup.exeというファイル名だと常に全.dllがシステムディレクトリから優先してロードされる挙動になる。

なんでもインストーラーがDLLプリロード攻撃される事例が相次いだために例外的対処として入ったとかどうとか……。

本当に最後の手段だが、setup.exeというファイル名を使うという手があることは覚えておいてもよいかもしれない。

防御その5、DEPENDENTLOADFLAGを設定する(Windows10限定)

※2019/03/28 21:00頃追記

VisualStudio C++のリンカオプションに/DEPENDENTLOADFLAG:0x00000800 を指定することでシステムディレクトリ以外の.dllとのリンクを抑止可能。

このオプションはLoadLibraryおよび起動時のリンク処理のデフォルト挙動を変更するオプションで、0x00000800はSystem32からのみ.dllを探索するように変更するもの。

当然ながらアプリケーションディレクトリに.dllを並べるタイプのアプリでは使用できない。

そういう場合は防御その1に書いた通りProgram Filesへ配置してください。

主にインストーラーや.exe単独で動作するアプリ向け。

詳しくはMSDNのDEPENDENTLOADFLAGおよびLoadLibraryExの仕様を参照してください。

ちなみにWindows10 RS1未満だとただ指定無視されて従来と同じ動きになります。

結論

Program Filesに置く以外の対策は非常に面倒かつ難しく、普通のプログラマーではミスなく終えるのはまず無理というのはわかってもらえたかと思います。

のでProgram Filesに置く運用大事。

とはいえMSは公式にアプリケーションディレクトリを介する攻撃について

アプリケーション ディレクトリにおける DLL の植え付けのカテゴリに該当する DLL の植え付けの問題は、多層防御の問題として扱われ、更新プログラムは将来のバージョンについてのみ検討されます。 ~中略~ その攻撃の本質はソーシャル エンジニアリングです。

https://blogs.technet.microsoft.com/jpsecurity/2018/04/10/triaging-a-dll-planting-vulnerability/

と述べており、基本的には脆弱性ではないとする方針のようです。

ちなみに一番問題になるのがインストーラーのケース(ダウンロードフォルダから実行されやすい)、次が特権実行されるアプリのケース(特権昇格に繋がる)です。

これらに該当しない場合、対応しなくても社会通念上許されることがほとんどです。

終わりに

私の作ったものにはこのdllプリロード攻撃を善用しているものが多数含まれています。

そういった関係から溜まった知識をダンプする目的で記述したため、他に比べると有用性は大分低い記事になったかもしれません。

ではまた、次を書く機会があればその時に。

2019/03/26 14:30追記:

脆弱かのチェッカー作ったのでよかったら見て
「DLLプリロード攻撃のチェッカーをリリース

2019 年 3 月 12 日

Mozillaに脆弱性を報告したら3年前から既知だと突っ返された話

Filed under: 未分類 — 中の人 @ 1:38 PM

さすがに3年放置しているとは思わんわ、あと検索機能馬鹿すぎて見つけられなかったのなんとかして。

概略

  • FirefoxとThunderbirdのインストーラーに特権昇格の脆弱性を見つける
  • 報告する
  • https://bugzilla.mozilla.org/show_bug.cgi?id=1269142 と重複と突っ返される
  • 些末にしろ3年放置はやめろ←今ここ

脆弱性詳細

インストーラーはまずユーザー権限で一時フォルダにファイルを展開し、特権を得てからそのファイルを実行したりProgram Filesにコピーしたりする。

当然一時フォルダはユーザー権限で書き換え可能なので、途中で実行される.exeを書きかえれば特権昇格、その他ファイルを書き換えればProgram Filesへの侵入(を経ての特権昇格)が可能。

またこれらへの対策も一切なく、実行.exeの署名検証やProgram Filesへコピーするファイルのホワイトリストなども存在しない。

よって特権昇格が可能である。

https://www.youtube.com/watch?v=DuhyTylF0T0

※C:\直下は特権なしではファイルを書き込めないのに書き込めている

PoC本体は https://resemblances.click3.org/product_list/index.cgi/detail/91 を参照のこと。

回答

2016-04-30 12:38投稿の https://bugzilla.mozilla.org/show_bug.cgi?id=1269142 と内容が重複しているとの回答があった。

見間違えじゃないぞ、2016年のとだ。

比較的些末とはいえ3年近くもの間特権昇格の脆弱性を放置するブラウザ……。

結論

Mozillaのインストーラーはこの調子だと何年でも脆弱なまま放置されそうなので、インストールするときは細心の注意を払おうな!

必要になったときだけインストールして即アンインストール運用は特に危険だぞ!

2018 年 5 月 20 日

cv2converterリリース

Filed under: 未分類 — 中の人 @ 1:18 PM

緋想天/非想天則内部形式の.cv2と.pngの相互変換ツールリリース。
http://wordpress.click3.org/garakuta/cv2converter.zip

単独では何の役にも立たないので適当に何かと組み合わせて下さい。
パレット型pngとか8bitカラーや16bitカラーも対応しようと思ったけど、手元の画像編集ソフトがことごとく非対応で作れなかったからもういいかなって。

touhouSE ver1.25リリース

Filed under: 未分類 — 中の人 @ 12:21 PM

東方系dat展開ツールtouhouSE更新しました。
http://wordpress.click3.org/garakuta/touhouSE.zip

  • 東方憑依華v1.10cに対応
  • ライセンス表記漏れを修正

単にパッチ追加分についてファイル名対応しただけです。
一個だけ不明なままですが、まぁいいかなと。

2018 年 4 月 17 日

touhouSE ver1.24リリース

Filed under: 未分類 — 中の人 @ 6:37 AM

東方系dat展開ツールtouhouSE更新しました。
http://wordpress.click3.org/garakuta/touhouSE.zip

  • コマンドライン引数のselect*/reject*/view-listを追加

以前からたまに発生していた”datから特定のファイル展開だけやらせたい人”がまた観測されたので
いい加減そういった使い方も出来るようにするかと機能追加しました。

具体的には

>touhouSE.exe select-glob *bgm*.ogg reject-glob *_20.ogg #{憑依華datのパス}

みたいにやると20秒版を除いた全BGMファイルだけを展開できます。

view-listつければ展開せずファイル名だけ出力してくれるので、狙った指定ができるまでの試行錯誤も安心!

2018 年 3 月 5 日

touhouSE ver1.23aリリース

Filed under: 未分類 — 中の人 @ 4:40 AM

東方系dat展開ツールtouhouSE更新しました。
http://wordpress.click3.org/garakuta/touhouSE.zip

  • 東方憑依華製品版(Steam/ディスク版)に対応
  • Steins;Gate0 PC版
  • DxArchiveV6に対応
  • nhtex=>dds=>pngといった多段変換に対応
  • コマンドライン引数で動作を変えられるように
  • tfwa形式で24bit形式が変換失敗していたのを修正
  • ファイル名に拡張子以外で.を含むファイルを含むアーカイブを二度連続で展開すると無限ループしていた不具合を修正
  • その他細かな変更色々

東方憑依華対応版です、Steam版と物理ディスク版どちらでも動くのを確認しています。
相変わらずファイル名は一方向ハッシュだったので一週間ほど逆算作業してました、楽しかった。

THxxBGMに東方憑依華製品版(Steam/ディスク)を追加するアプリリリース

Filed under: 未分類 — 中の人 @ 4:35 AM

THxxBGMに憑依華製品版の曲再生機能を足すアプリを作りました(引き続き深秘録と心綺楼も増える)。
http://wordpress.click3.org/garakuta/thxxbgmTh155Patch.zip

使い方は、中のwinmm.dllをTHxxBGM.exeと同じディレクトリに置くだけ。
うまいこと行けばpath設定に憑依華と深秘録と心綺楼が増えて、該当ディレクトリを設定すれば聞けるようになるはず。

2018 年 1 月 18 日

試行錯誤の最小化は本当に正しいのか?

Filed under: 未分類 — 中の人 @ 10:25 PM

駄文、もしくはポエムの類だ、嫌いな人はスルーしてほしい。

以降の記述はすべて”情報科学においては”と装飾されているものとする。
また一個人の考えであり、正しさを保証するものではない。


まず世間においては以下のような考えを主張する人が多くいる。
「ほとんどの問題はすでに解決した人がいるので、試行錯誤したら1時間かかることも探せば10分で答えが見つかる、だから試行錯誤は最低限に抑えるのが上達のこつだ」
これは自分も複数人から実際に聞かされているし、大体の場合は正しいと思う。
しかし自分は正しくないこともあると考えている、それも結構な確率で。

前提として探しても答えが見つからない場合にどうするかを考える。
もちろん組み合わせ爆発的な問題があるので実際試せばわかる程度のものは含めない、もっと根本的にそれが何かすらつかめていないレベルのものだ。
「ほとんどの問題はすでに解決した人がいる」を前提に話している以上は探し方が悪いと言いたいのだろう。
なので「答えを見つけられる探し方を探す」方向に進むか「解決不能な問題である」と諦めるべき、ということだと思う。
以降はこの前提を置いて進める。

では本題として前述の主張に対する欠陥を指摘する。
「ほとんどの問題はすでに解決した人がいる」が事実だとしても「解決しても公開する人は圧倒的少数派である」ことが抜けている。
例を出そう。
「ゲームコントローラーの入力を受けて、フォーカスが当たっているゲームに、任意のキーボードイベントを送りたい」という問題を考える。
これはjoytokeyというアプリで実際に解決されていて、具体的な方法はWin32APIのkeybd_eventの極一部のドキュメントにしか記載がないbScanという隠し機能を使うというものだ。
では、探すだけでこの具体的な方法にたどり着けるだろうか?
2018/01/18のgoogleによれば「joytokey」では260,000件あるが「joytokey keybd_event」では244件で「joytokey keybd_event bScan」は20件、実際に記載があったのは2件で、どちらも無関係な第三者が調べた結果だ。
試行錯誤なしにこの情報にたどり着くのは常人では難しいだろう、少なくとも自分だったら無理だ。
このように明確に解決した人がいても公開しないことは普通なのだ。

公開されないと何が問題かと言えば、誰かが解決済みでも自分は解決できないことが多数発生することだ。
少し考えればわかるだろう、ソース非公開の素晴らしいアプリがあったとしてそれを100%模倣することなど普通は出来ないのだから。
普段探して解決している問題は解決した人がたくさんいるから公開する人も多かっただけに過ぎない。
つまりほとんどの問題は探して解決するなどというのは幻想で、探すだけでは解決しない問題は大量に存在しており、ただそういう問題は直面する確率が低いだけなのだ。
そして1%の事象でも100個集まればそれなりに踏むように、これらの問題のどれかは結構な確率で踏む。
そんな時に毎回諦めるのは本当に良いことだろうか?そうして得られる知識だけで本当に上達したと胸を張れるのだろうか?
自分は違うと思う。

成長とはその技能そのもの以外にも、その技能関連問題をどれぐらい解決できるかも含むと自分は思っている。
なので、誰も教えてくれない知識に自力でたどり着けるようになることも成長だと思う。
もちろんたどり着けるようになる方法そのものを探して身に着けるということは否定しない。
しかしプログラミングなどのように実践しようと思えばいくらでも実践できる分野ではないので、ある程度は都度試行錯誤していくのがベターだと思う。
さすがに毎回探す前に試行錯誤するようでは問題あるとは思うが。

以上、試行錯誤しないと手に入らない知識ばかり気になってここまで来たのに否定されまくったことの愚痴でした。


ちなみに初手試行錯誤も自分は否定しない。
0から試行錯誤した経験はその知識に対して多角的視点を与えてくれる(プログラミング作業では車輪の再発明とも呼ぶ)。
コストが高すぎるので全てで行うことは馬鹿げているが、一切やらない人はそれはそれで愚かだと思う。
なので試行錯誤は用法用量を守って正しく行いましょう、というお話だったとさ。

Older Posts »

Powered by WordPress